南極 昭和基地・発電棟 ①
1980年、南極昭和基地での新しいディーゼル・コージェネレーション設備建設計画が本格化し、同設備の配管設計を担当させていただきました。
基地の建物や施設は、主として夏期間(12月下旬~2月中旬)に設営部門の隊員が中心となり、研究者や観測船乗組員(海上自衛隊)の全面的な協力を得て建設されます。
短い工期の中で、たくさんの仕事を素人の集団でこなさなければならないため、『柔構造プレハブ配管工法』を全面的に採用しました。
25次隊(1983年)での納入時は、160kW×3台のシステムでした。その後、37次隊で1号発電装置を240kWのものに更新し、240kW×1台+160kW×2台のシステムで39次隊まで運用しています。40次隊で、2号発電装置を240kWに更新,3号発電装置(160kW)を撤去して、240kW×2台のシステムとなり、現在に至っています。
この間、ディーゼルエンジン冷却水系統・熱回収系統の改修工事が都度行なわれましたが、柔構造プレハブ配管システムの効果により、短工期で確実に施工されてきました。
発電棟・1階 発電機室
発電棟は2階建で、発電機室は吹き抜けになっており、天井走行クレーンが設置されています。
ディーゼルエンジン廻りの冷却水管,燃料油管,ミストガス管,排気ガス管などの全ての配管をプレハブ加工して持ち込み、現地で組み立てています。
配管の支持金物類も同様に、国内で加工したものを持ち込んでいます。
配管材質:SUS304TP sch20S
使用圧力:1Mpa
冷却水熱回収ユニット
後方に写っているのは、ディーゼル発電装置です。
現地での組立工数を減らす為に、このディーゼルエンジンの冷却水循環ポンプやプレート式熱交換器等の機器類とそれをつなぐ配管を一つのユニットとしてまとめたものです。
現地では、発電装置やこのユニットを据え付けた後に、其々のノズル同士をプレハブ加工管で接続します。
ユニット内には、仕切弁・逆止弁・自動温度調節弁などフランジ接続部分が多くなります。
弁類の交換やメンテナンス時の分解・再組立における作業性を考慮して、適所にハウジング形管継手(リングジョイントタイプ)を配置して融通性を持たせています。
また、このハウジング形管継手は、接続部分に最大6.0mmの間隙を有することから、伸縮継手を配置することなく、管の膨張・収縮に対応が出来ます。(注:設計時の接続部間隙を4.0mmに設定。)