南極昭和基地・燃料移送管(漏油検知・位置検知システム付き)
常用ディーゼル発電装置の燃料には、W(ウィンター)軽油及びJP-5を使用しています。
基地主要部と少し離れた見晴らし岩と呼ばれる場所にそれぞれ貯油タンク施設があります。
これらの貯油タンク施設と発電棟サービスタンク間は、過去には耐寒耐油ホース(50φ)で接続されていました。環境保全の為に、第43次隊(2001年)からステンレス鋼管製二重管への交換作業が進められ、第49次隊(2007年)で全てのラインが完成しました。
この二重管の内部には漏油検知用のセンサーが取り付けられ、万が一、内管に油漏れが生じた場合には漏液を検知して警報を出すと共に、その位置検知を行なうシステムとなっています。
基地貯油タンクから、W軽油とJP-5の2系統が発電棟へ接続されています。
(写真中央の赤い建物が「発電棟」です。)
内 管 SUS304 50A(W軽油)
SUS304 25A(JP-5)
外 管 SUS316 125A
使用圧力 1MPa
<海氷側から見た発電棟>
中央に立っているのは、ディーゼル発電装置用の煙突です。
水平に2本配管されているのが、燃料移送用プレハブ二重管です。
左の白い建物は冷凍庫。
<発電棟~見晴らし岩貯油タンクへ>
発電棟から見晴らし岩貯油タンクへとつながる系統です。
この区間は1系統(内管50A)のみで、W軽油とJP-5を兼用して移送しています。
<発電棟~見晴らし岩貯油所へ>
地表から50cmから1m位の高さで敷設された配管です。
二重管の定尺寸法は4mで、接続部には約5°の許容撓角があります。このため、ジャバラ式タワミ管などを用いなくても地表の起伏に沿った配管が可能です。
<見晴らし岩貯油タンクの移送ポンプ小屋>
第49次隊(2007年)で新設され、パイプラインが完成しました。
小屋内には、燃料移送用ポンプユニットとディーゼル発電機が設置されています。